私が今までハマってきたもの
物心つく前、私は車のメーカーとエンブレムを覚えることに夢中になっていたらしい
道行く車のエンブレムをみては 、あれはトヨタ、あれはホンダ、あれは日産と指さして楽しんでいたと、親は言う
今では全く覚えていない
子供の頃、漫画・アニメの台詞や、やたら長い固有名詞を覚えるのに躍起になっていたのを覚えている
今では、どうして夢中になっていたのか、不思議である
同じ漫画やアニメを見返しても、ちっともワクワクしない
これは成長ゆえなのか、感受性が死につつあるからなのか
はたまた単に飽きただけなのかも
大学時代、英米の小説を読むことに憑かれていたことがある
これらに比べれば日本の小説なんてと、知ったようなことを思っていた
今では、気に入った本なら国内外問わず何でも読む雑食である
何のために、拘っていたのやら
今ではよく分からない
ハマりを抜けると、ハマっていた時のことは昔になる
思い出すのに苦労する
私が未だにハマっているもの
ハマるにも色々あるが、すっぽり嵌って出られないことは共通している
例えば、人間はどうやっても人生を生きることに嵌っている
高い知能と不確かな感情が不協和音を響かせている
綺麗な音など何処にも聞こえない
人生を生きること自体が罠で、私達、皆がそれにすっぽりハマっているのだろう
こんな苦しみばかりの生などに
けれど、苦しみがあるからこそ、人は快楽を、幸せを自覚できるのではないだろうか
ピンチはチャンスとよく言う
人生こそ、絶命必至のピンチであり、絶好のチャンスではなかろうか
私がこれからハマりにいくこと
人間に生まれたということが、不幸であると同時に幸福なのかもしれない
スタートは違っても、皆目指すゴールは幸福である
少なくとも、不幸を避ける道を探す
私は幸福への道を探したい
幸福へと嵌っていきたい
人間は不幸なのかもしれないが、何かにハマっている間だけは、夢中でいる間は、幸福を、生きがいを感じているのかもしれない
だから、私はこれからも何かにハマっていくだろう
それが人生の罠だったとしても
幸福にハマっていきたいから
