介護福祉士『ルドルフ』のつれづれブログ

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【介護】介護スタッフと豆まき貴婦人A

介護事業所の豆まき

毎年、私が勤める介護事業所では高齢者と一緒に節分のイベントを行うのが恒例です

高齢者の方々にレクリエーションとして豆まきをしてもらうのです

今年の2月3日も豆まきを行いました

今回はその時の様子を少しお伝えしたいと思います1

但し、普通に豆をまくわけではありません

うちの事業所では炒り豆は出さないことになっています2

まず、高齢者は咀嚼や嚥下の機能が若い方に比べて衰えている場合が多いです

歯が残っていない方も結構います

炒り豆のような固い食べ物はまず出しません

それに、豆まきの伝統では最後に豆を歳の数だけ食べるのが一般的な作法になっています

つい食べてしまう人がいないとは限りません

まいた豆を拾って食べてしまう場合も考えられます

そこで私がいる事業所では、豆の代わりに紙玉を投げて貰っています3

ちなみに、鬼の役は介護スタッフが行うのが普通です。今回は私がやりました

貴婦人Aについて

玉を投げていた高齢者の中に、今回の主要人物である女性が一人います

便宜的に「貴婦人A」とお呼びします

この方はお淑やかな、おばあちゃんです

声を荒げることもありませんし

私達職員に対してもいつもニコニコ穏やかに接してくれます

ぽやぽやした可愛いおばあちゃんで、

活発に行動する姿より、窓際で日向ぼっこをされているのを見ることが多い方です

貴婦人Aのオーバースロー

さて、そんな貴婦人Aですが、他の高齢者の方々と一緒に椅子に座っています

椅子は、事業所の広間の中央付近にテーブルを退けて空間を作り、そこに円を描くように並べられています

で、高齢者の方達は手に手に紙玉を複数持って待機しています

鬼の登場を待っているのです

介護スタッフが一人、これから鬼が出てくるので紙玉を投げて下さいと説明しています

周りには他のスタッフも見守っています

彼らは、いつでも紙玉を高齢者の手に補充できるように用意しています

そこに、鬼に扮した私が登場

円の中央に立ち、若干わざとらしい、しかし気合の入った雄叫びを上げます

ギャオーと両手を掲げて威嚇もします

「おおっ」と色めき立つ高齢者達が、紙玉を投げ始めました

その表情はそれぞれ楽しそうだったり真剣だったり色々ですが、

本気の投げっぷりが目立ちます

いつもはレクリエーションに積極的でない様な人も、こういうときはノリノリです

周りのスタッフもノリノリです

めっちゃご老人方を囃し立てています

紙玉がポンポン私に当たっていきます

ふと、貴婦人Aが私をジッと見つめています

私は彼女が当てやすいように、目の前に移動します

貴婦人Aが手に持った紙玉を振りかぶります

結構良いフォームです

紙玉が勢いよく飛んで、

飛んで

飛んで

私の股間に命中します

別に痛くはありません

当たっても大丈夫なように紙玉を投げてもらっているのです

ですが、私もノリノリで痛がるフリをします

そういう雰囲気だったのです

で、貴婦人A

普段のぽやぽやした顔のまま

えい、えいと

気合を入れて股間に紙玉を投げ続けます

隣のスタッフもやれやれと囃しながら、どんどん彼女に紙玉を補充します

それを見ていた隣のご婦人(おばあちゃん)

真似して私の股間めがけて投げ始めます

さっきまでの5割増し気合が入っています

そのノリは円陣全体に伝播し

さらに何人か股間狙いが増えそうなところでタイムアップ

私はそそくさと舞台裏へと戻って行きました

その時の、貴婦人Aの微妙に残念そうな顔が印象に残っています

おしまいに

いかがだったでしょうか

介護事業所には、こんな感じに楽しいお年寄りが結構います

いつもそうだとは間違っても言いません

高齢者の介護は神経を使うことも多いし、要介護度が高い方は身体介助もあるので特にキツイでしょう

しかし、確かに楽しい時間も往々にして存在しています

そして、そういうものを高齢者の方と共有できるのは面白い経験だと感じています

私達と彼らの年齢差は、祖父母と孫かそれ以上です

これだけ離れていても、共通の事柄で一喜一憂できるのは、不思議と面白く感じられるのです

そういう気持ちをお裾分け出来たらいいと思います


  1. プライバシー保護が保たれるように一部編集・脚色を行っています。また、このブログはあらゆる個人、団体を落としめる意図はありません。が、概ね事実に基づいています
  2. 他の事業所でもおそらく炒り豆を使わないのではと思いますが、現場のやり方は各々で独自のルールがあります。一概にこうと断言はできません
  3. 異食の傾向がある高齢者を除いて、安全な代物です