介護福祉士『ルドルフ』のつれづれブログ

気持ちがラクになるブログを目指しています

MENU

【読書】何の味わいもないものが、最も優れている

菜根譚を読む

一つ、引用させて下さい

16世紀末の中国明代末期の著作家、洪自誠(こうじせい)の菜根譚(さいこんたん)からの一編です

漢文と書き下し文が難しい方は、現代語訳のみ読んでみて下さい

(漢文)

醲肥辛甘非眞味、眞味只是淡。 神奇卓異非至人、至人只是常。

(書き下し文)

醲肥辛甘は真味にあらず、真味は只だ是れ淡なり。 神奇卓異は至人にあらず、至人はただ是れ常なり。

(現代語訳)

濃い酒や肥えた肉、辛いものや甘いものなど、すべて濃厚な味の類は、ほんものの味ではない。 ほんものの味というものは、(水や空気のように)ただ淡白な味のものである。(これと同じく)、 神妙不可思議で、奇異な才能を発揮する人は、至人ではない。至人というものは、ただ世間並みな尋常の人である

『菜根譚』今井宇三郎訳注 岩波文庫 菜根譚前集 七 より1

才能がないのを悔やむ必要はない

自分の才能に絶望したり、他人の才能が羨ましくなるとき

私はこれを読みます

この言葉に慰められるからです

この言葉を読むと、才能は人生の全てではないと思えるのです

人生には他にも幸福へと向かう力が無数にあります

それは努力であり、

幸運であり、

巡り合わせであり、

一人々々の意志であると思っています

私達はその全てに助けられて、人生の幸福へと向かうことができるのです

この味わいのない一分一秒が最も大事

幸福になるために最も大事なのは、才能を持つことではありません

私達がぼんやり通り過ぎている

何の味わいも無い、この一瞬一瞬の積み重ね

これを大切にすることが、人間にとって最も優れた方法だと思います

それが幸福へと向かう地図であり、道であり、車であるのです

そんな風に、私は思っています


  1. ちなみに、2023年2月25日現在、菜根譚(岩波文庫)はKindleUnlimitedで読み放題です。興味のある方は是非御一読下さい