Audibleで聴いた本を3つ紹介します
アラフォーに入って今更ながら自らの人間力を高めたい
そんな野望を持ち、古典文学を読み出しました
でも、普通に読んでも続かないと分かっていたので、Audibleで聴いてみようと考えたのは前回の記事の通りです
今回は、その中で3つほど作品の感想を書いてみたいと思います
1.檸檬(梶井基次郎)
有名な作品なので、あらすじは省略させていただきますが、
皆さんにも、今まで素晴らしい、美しいと思っていたことが、
急に色褪せて見えたり、堪え難くなったりした経験はないでしょうか?
この物語は、そんな絶望に対する破壊活動
もっと言えば、テロ行為のように思えます
とはいえ、誰かを傷つけたりする訳ではなく(作中の丸善の店員さんには、いい迷惑だったでしょうが( 笑))、
この主人公はどうやら病気やら借金やらがあるみたいですが、問題は自分の中にある「 かたまり」だとはっきり言っているので
あくまで対象は主人公を形作ってきた内的世界そのものであり、外部に問題があるわけではないようです
で、そんな憂鬱を爆弾でドカンといったら気持ちいいだろうなぁ、とそんな破壊的衝動なのですね
面白いのは、内部の葛藤を外部の現実にある物質を組み立てることで、昇華、解決しようとしているところでしょう
実際、この主人公が何をやったかは、ネタバレなので言うのはやめておきます
2.駈込み訴え(太宰治)
ある男が、自分の主を殺してほしいと訴え出てくるお話です
最初から最後まで男の独白で話が展開します
この男は世界的に超有名な人物なのですが、詳しい方は固有名詞やエピソードですぐにピンとくる思います
私も男が誰なのかはすぐに分かりました
ですが、この男が殺してほしいという主に対する、愛憎の深さと濃さが圧倒的で、最後まで聴き入ってしまいました
さすがは太宰治の表現力といった感じです
今まで読まなかったのを軽く後悔した言う意味では、直近で聴いた『人間失格』以上でした
気になる方は是非、読んでみて下さい
3.山月記(中島敦)
若き俊英として期待されていた男の悲しい末路と、その友人が対面するお話です
山月記は有名なので、あらすじをご存じの方は多いと思います
なので、率直な感想を一つ
私のような凡人は、才能の多寡で悩むことも多いです
やっぱり自分よりずっと優秀な人が、そばにいると、劣等感に苛まれるわけですが
そんな凡人でも、何かに挑戦したり、目標を持って生きる事ができるだけでも、きっと恵まれているのだろうと思ったわけです
いや、例え挑戦に失敗したとしても、家族と普通に暮らすことが出来るのだから、もしかしたらそれだけで充分なのかも、そんな風に思いました
おしまいに
ちなみに、これらの作品は全て青空文庫で読むことが出来ます
が、有料の本には有料で利点もありまして、あとがきなどに有識者の解説などがついていることが多いです
作品の世界観を深く知りたい方や、同じ作家でおすすめの作品や作風について研究したい方などは、文庫や電子書籍で読むのも面白いのではないかと思われます