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【雑記】道路工事は本当に年度末に多いのか?理由、根拠を調べてまとめました(改訂版)

はじめに

皆様は、この時期に途端に増える道路工事にイライラした経験はないでしょうか?

車で通るたびにガードマンのお兄さんに赤旗で止まるよう指示される

対向車が多くて、やたらに長く待たされる

やっと白旗が上がって進みはじめると、お辞儀をするガードマンのお兄さんを睨みつけてしまう

そんなことは一度や二度じゃない

何故かは知らないが、この時期になると一斉に地面を掘り返して、埋め直しているように見える

しかも、同じところを何度も掘ったり埋めたりしている

どうしてもっと、計画的にしないのだろうか?

もっと上手いやり方があるんじゃないだろうか?

そんな疑問に答えはあるのか?

調べてみました

【目次】

Q.予算消化のために要らない工事を繰り返している?

噂では、年度末に予算が余ると、来年度の予算が減ると聞きます

予算消化のために、要らない工事を繰り返しているのでは?

そんな風に勘繰ったことはありませんか?

私もそうでした

けれど、調べてみたらどうやら違うらしいのです

一見無駄が多く、年度末に慌てて工事を始めたように見えます

ですが、工事完了が遅いのは、周到に計画を立てて、1年かけて工事を着実に進めた結果なのです

この根拠として福岡市道路占用工事調整協議会のQ&Aより以下の回答を引用したいと思います

市民の方から「年末や年度末は道路工事が増える」というご意見を多くいただきます。 確かに年末、年度末になるほど工事件数が多くなる状況です。 その理由のひとつは、道路を改良したり維持・修繕したりする工事は、基本的に1年単位で行われているため、毎年4月以降に工事が発注され3月末までに工事を終わらせるようになっているからです。 また、道路の工事を行う場合は、先に道路の地下に埋める水道管やガス管等の工事が終わってから最後にアスファルト舗装の工事を行いますので、どうしても道路工事は年度末に偏りがちになっています。

この順番を調整しなければ、何度も同じ場所を掘り返したり経費の無駄遣いになったり、また交通渋滞の原因にもなります。

そのため、当協議会では路上工事の調整や路上工事の抑制期間を設けるなど、出来るだけ年度末の路上工事が少なくなるよう取組んでいます。

これは、どういうことなのか?

道路工事に関わる疑惑を一つずつ見て行きましょう

Q.道路工事の予算は余っている?

まずは、年度末に工事が多いのは余った予算を消化するためでは? という疑惑

これについては、近年、道路工事の予算は全く足りていません

公共事業関係費は減少傾向にあり、財政的にも人員的にも十分な整備ができない状況になっています1

図表 公共事業関係費の推移(国土交通省)

このような状況で、"予算消化"できるほどの余裕はありません2

むしろ、AIやドローンなどの新技術やデータを利用したより効率的な方法を模索している段階です3

Q.年度末は、無駄な工事が多いのか?

次は、年度末に無駄な工事が増えているように見えることについて

国土交通省が公表している路上工事時間の推移によると、平成14年〜26年にかけて工事時間は約6割減少しています

図表 路上工事時間の推移(国土交通省)

また月別の路上工事時間についても令和3年度は10月、11月が最も多いとのデータが公表されています4

無駄な工事が多かったのは昔の話

近年では減少しており、しかも年度末に多いというのも間違った印象であったわけです

Q.何度も同じ場所を掘って埋めている?

次は、何度も同じ道を掘って埋めてを繰り返しているように見えることについて

それについては詳しいお話が載っている記事を見つけたので、以下に引用します

「道路を掘って埋めて、また掘って」という苦情もしばしば寄せられるが、これにも理由がある。もちろん、無駄遣いの為に掘っているわけではないし、それ程お金が余っているわけではない。道路を掘り返す工事はいくつかあるが、一番多いのは、古くなった水道管を新しい管に入れ替える工事だ。特に戦後、鉛製給水管が長らく使われてきたが、これが体に良くないということと老朽化問題で全国的に入れ替えを行っている。この水道管の入れ替えはなかなか面倒で、三回掘って埋めるという工程になっている。一度目は、本管の交換工事をする間給水が止まるのを防ぐ為に仮設の管を埋める。二度目は古い本管を抜いて新しい本管を入れてそれぞれのお家に接続し、再び埋める。三度目は仮管を抜き、最後は路面を全て綺麗にする本復旧という工程になる。一度に全部やればという声もあるが、そうすると道路工事が長期化し、その間道路がずっと使えなくなり交通に支障をきたす為、周辺への配慮からこうした工程となっていたのだ。

ついでに言えば、最近はガス事業者や水道事業者、共同溝設置事業者などと毎年話し合いをし、出来るだけ一緒に工事をすることで何度も掘り返さずに済むような対策も取られている。ただ、水道管の敷設替えが終わった後に、ガス管の漏れが発覚し、せっかく綺麗になった道路を再びガス会社が掘り返すというようなこともないわけではないが、基本的にはやるべくして工事をやっているというのが昨今の公共工事事情なのだ。

年度末に公共工事が増える?なぜ何度も掘り返す? 公共工事の謎、予算消化説は間違いだったより

つまり、水道管などのインフラを整備するためには3度掘り返す必要があるということですね

関係各業者のご苦労が忍ばれます

まとめ


☑ 予算消化するほど余っておらず、逆に道路工事の予算は足りていない。予算不足を補うためにAIやドローンなどの新技術を活用する手法が研究されている

☑  無駄な工事は今や昔の話。工事時間は12年かけて6割減少している。また、工事が多いのも年度末ではなく10月、11月が多い

☑ 何度も同じ場所を掘って埋めているのは本当だけど、それは老朽化した水道管などを取り替える過程で3度掘ったり埋めたりする必要があるため。私達のインフラは関係各業者の努力で支えられている


いかがでしたか?

『道路工事は年末に多い』説は、恐らく昔は正しかったのでしょう

しかし、現代では様々な方々の努力と工夫で、この問題が克服されています

そして、私達が想像するよりずっと厳しい状況の中で、身近なインフラが支えられている

それがわかって頂けたのではないでしょうか?

私の場合、父が昔から「3月末に向けて予算消化している」という話をしていたので、そのまま信じていました

(父も悪気があったわけではないでしょう。今度、話題に上がったときにでも訂正しておきたいと思います)

何でも頭から信じるのは危険だと再認識しました

自分で確かめられるのは、知性ある人間の特権です

しかも、今はネット検索で大抵のものが調べられる

この特権を酷使しない手はありません

自分で事実ファクトを掴むためのおすすめ書籍

そういえば、数年前に有名になった本に似たようなことが書いてあったのを思い出しました

これを機にオススメしておきます

(まあ、私に薦められるまでもなく、既に手に取った方も多いでしょうけれど)

⇧この本も、様々なデータから私達の偏見、思い込みを諌め、事実ファクトに直面させてくれる内容でした

今回、この本が勧めていたように、国が公表している(つまり、信頼できる)データを大いに活用して記事を書きました

気になった方は一度手にとって読んで頂きたいです

目から鱗が10回ほど落ちるような刺激的な経験が出来るでしょう

(2023-03-03 文章の内容の改訂とイメージ写真を追加しました) (2023-05-14 微調整と訂正)